ギャラリー萩

石川県加賀市 「ギャラリー萩」のホームページです。

祥瑞(しょんずい)

祥瑞 新春のご挨拶を申し上げます。
2012年が明けてもう1週間が経ちました。
千年に一度かというような大災害のあった昨年でしたが、今年はどうなるのでしょうか。
復興への道のりはまだまだ遠く、私たちに出来ることはあまりにも少なく思えて
いつもの年ほどお正月気分には浸れなかった気がします。

けれど新年らしい話題で初ブログとしたいと思います。
昨年秋、相模原三越伊勢丹での催事で見つけたこの器、明治初めの頃の蒔絵の蓋付き椀です。
細かい文様に目を凝らしていると「祥瑞(ションズイ)ですよ」と、金沢の黒龍堂さんが教えてくれました。
普段見慣れている染付けの祥瑞手の焼き物とはまるで別の雰囲気でしたが、改めて日本人がこの文様を愛しているのだと感じました。

祥瑞の蒔絵

しょんずいと呼ばれる祥瑞とは、中国の明時代の末期に、日本の茶人の注文を受け、景徳鎮で作られたといわれる染付けの磁器です。
茶人たちにこよなく愛され、茶器や懐石用の食器として、この日本だけに伝世してきました。
純白の素地の上に、呉須で独特の吉祥文様が描かれています。
白地に鮮やかな藍色で描かれた花鳥風月や幾何学模様は日本人の美意識にこよなく沿うたものなのでしょう。私も大好きです。
白地に藍色と、黒字に金と、同じ文様でもこんなに雰囲気が違います。
景徳鎮のこの祥瑞に倣い、京都や有田、瀬戸、九谷と全国各地で盛んに作られてきました。

萌窯のカップ

これは山本長左さんの下で修業した萌窯の竹内智恵さんの珈琲碗&皿です。
厳密に言えば祥瑞手ではないかもしれないのですが、濃いめの発色の藍色で、筆に勢いがあります。
九谷焼きの祥瑞です。若い人達のものは軽やかで、日常にもっと使われて欲しいものです。

昨年ギャラリー萩で親子展をしていただいた壽楽窯の祥瑞は、
九谷焼の伝統の重みを感じる祥瑞でした。
萌窯さんとの色の違いがお分かりでしょうか。
それぞれの窯が持っている色や雰囲気の微妙な違いが、焼き物の魅力です。
我が家の捻り盃、伝統的な祥瑞です。
小さいけれどしっかりとした存在感がたまらなくいいものです。

壽楽窯の盃

Scroll Up