震災復興支援の象徴的作品です
2011年9月19日
2011年3月11日午後、未曽有の大地震が東北各地を襲いました。
福島県須賀川市の陶芸家伊藤文夫さんの花器「地震」です。
伊藤さんから次のようなメッセージが添えられています。
震災の日に作成したものですが、上段のものが落ちへこみました。
まだ原発という事がわからず単なる地震と思い、地震としました。
ギャラリー前の萩の繁みをバックに撮影しました。
釘彫りで「地震」と彫られています。
へこんだ部分がひとつの表情を作っているので、もしかしてこの文字がなければ
侘び寂の器として普通の花器としての運命を辿っていくはずでした。
裏側には2011年3月11日と日付も。
それから原発の事故が明らかにされ、
福島県に住む人々の人生は大きく変わっていきました。
単なる「地震」と記されたこの器が物語るものの重さに、改めて気づかされます。
何があってもひたむきに土と向かい合い、
炎と対峙して生きていく伊藤さんをはじめとする東北の作家たちの姿に、
深い感動を覚えます。
石巻から車で15時間をかけ会場に着いた亀山英児さんと、
今回東北の作家たちをまとめてくれた仙台の斉藤久夫さんです。
お二人のことは他日ご紹介します。
気仙沼から仙台乗継で夜行バスで加賀まで来てくれた、ガラス作家の菊田佳代さんです。
女性らしい色と雰囲気のガラスプレートです。
さまざまな工夫がされていて、お話を聞くのが楽しいひと時でした。
大学では鋳金を学んだそうで、
ガラス細工もそれと同じ技法、パート・ド・ベールでオブジェやプレートを作っています。
板ガラスを組み合わせて作り出す色のハーモニーの美しさ、
小さな小物でも十分に味わえます。
この2組の作家さんたちは橋立町の景観地区内にある民家に無料で泊めていただいています。
町は祭りの真っ最中、朝4時からの笛や太鼓の獅子舞に驚かされたようでした。