ギャラリー萩

石川県加賀市 「ギャラリー萩」のホームページです。

3月4日地鎮祭

弥生3月なのに冷たい雨、ぬかるんだ地面にブルーシートを張り地鎮祭が始まりました。

風邪はなく静かな中、儀式は厳かに滞りなく進みました。確かに神様が下りてこられ、地を鎮め、平安の祈りを聞き入られて下さり、天に帰って行かれました。ああこれで本当に出発なのだ、としみじみ。これまでの様々な神事の中でもピカ一の感動が私にはありました。この土地を手に入れることができた最大の功労者、夫の親友のYさんが出席して下さった。私を励まし守り素敵な家を設計して下さったKさん。現場監督の紳士Kさん、その会社の社長さん。ご挨拶をしたら本当にお近くの新明宮の宮司さん、そして末の息子夫婦と孫代表の永真ちゃんと私。お下がりにいただいた立派な鯛は、その夜お刺身と鯛めしと鯛汁としてすべて家族のお腹の中に納めました。しみじみと幸せな日でありましたこと。

その後現場監督のK氏は助手さんとこまごまと次の日からの杭打ち工事の下準備をしています。仕事が美しいのです。縄の貼り方も、それ以前の計測なども間違いがない。間違いがあってはならないことなのだと思いますが、それでもきちっと仕事をする職人さんて素敵です。私がギャラリーを始めたのも心のどこかにモノづくりの方々の美しい仕事ぶりに惹かれたことが大きいようです。アートは感性だけでは人の心に届かない、表現されたものが美しく整っていなければ、何が美しいのかはそれぞれいろいろだけど、美しくなければ人の心は動かない、届かない、残らないと私は思います。エアコンを付けてもらった時、配線工事の職人さんのこだわりに驚きました。柱や梁にちょっと見わかりにくいように美しく張り巡らされた電線、電源が遠かったのでそれはトイレの天井を巡りその壁を突き抜けエアコンのところまで続いていました。大きな重機であっても、仕上げは手持ちの道具でしたかのように細やか。歩道の切り下げ工事もどの工程も隅々まできちんと整い美しい。扱うものが土や鉄、石や木に切株やその他の残滓であってもきちんと向き合って美しく整えて仕事を終える職人さんたちに心がときめきます。アートと工芸、どちらかというと工芸的なものに惹かれる私としては、家づくりも工芸のジャンルかもしれません。工芸には技術力が必須でそれがあって美しさが生まれる、アートもそういう技術が備わってこそと思うのです。

本当に少ない予算の中で最大限の設計をしてくださったK設計士さん、子供たちも皆、お母さんの守り人だと思っているようです。何でもお母さんの希望を聞いてくれる人だとも。確かにKさんが居なかったらこんなに早く希望通りの家づくりは出来なかったでしょう。随分わがままを申しました。でも随分我慢をして諦めたものもありました。でもその中で最大限の努力をしていただいての今日この日です。Kさんには感謝しかありません。出来上がるまで、目を光らせて、美しくいい家にしてくださると、全面信頼です。

私の頭の中は今は植栽のことばかり。新しく購入予定の果物の苗。避難させている球根や多年草の植え替えと芝生のこと。夫と一緒に運びさんざん楽しんできた枕木たち、崩れたものは処分していただいたし、残りのものも思い出と一緒にデッキの階段に使ったりレイズベッドとして畑に使ったり、母屋の台所口と新しい庭を繋ぐ小道にしようかとか、考えているだけでも楽しい。植えるまでが私の仕事、それからは植物と庭との相性です。少なくとも太陽と風はふんだんにある庭です。

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