里山の一日
2012年5月16日
加賀市の魅力の、大きな一つは、里山に恵まれていることだと私は思っています。ここ三谷地区もそうです。曽宇町(昔は村と呼んでいたでしょう)、直下町、日谷町と三つの谷あいの村が集まって三谷地区。ここでは農業と林業が主な生活でした。今はほとんどが兼業で、サラリーマンとして働いています。さて私たちの友人もたくさん住んでいて誘われて先日の日曜日出かけてきました。
昨年秋世界から一流シェフがこの地区に集まり、クック イット ロウという食のイベントで一躍有名になりました。その仕掛け人の成澤シェフが自ら山野草の美味を、この地区の方に再発見してもらおうという催しです。
成澤さんはとてもお話が上手です。東京の一流フレンチのオーナーでありながらの、気さくでユーモアに満ちた人柄はあっという間に会場を沸かせます。村のおじいさんもおばあさんも、若い家族や子供たちも巻き込んでの興奮のひと時でした。この日サラダになったのは、タンポポ、オオバコ、三つ葉、セリなど三谷地区どこにでも自生している草たち、それに温卵、パルミジャーノチーズ、オリーブオイル、シェリー酢のソースを和えていただきます。トッピングは、藤の花、アカシアの花。爽やかで美しいサラダの試食はもう戦争状態(笑い)でした。それにシデ(谷間に白い花を咲かせる山草)のパスタ。アンチョビーや、からすみなど本格食材を加えてのペペロンチーネは絶品でした。
公民館前では地区の人々が集まってお祭り。獅子舞も登場しにぎやかでした。曽宇町の隠れ屋料亭「みずの」のご主人が作ってくれた猪鍋、給食の大なべで振る舞っていました。これもまたグレイト。美味しくて新鮮、澄んだ空気と豊かな土壌に育まれた旬のものを頂くことのできる贅沢、成澤シェフが言う「里山の魅力」です。住んでいる私たちが改めて再発見です。世界一の食材が揃うのです。
日谷町の一番奥に住む陶芸家藤澤重夫さんの工房の庭に会場を移動し、ここでは山菜リゾットのお振舞です。何せ集まったのは40人以上。心ばかりではなくお腹も満足してもらわねばといつの間にか成澤シェフの助手を務めだした何人かの有志達、私もなぜかそのひとり、山ウド、タラの芽、コシアブラ、スイカンバなど山菜がたっぷり入った贅沢リゾットと、山代温泉の温泉卵ソースの山菜サラダ(ギボウシがたっぷり)が振る舞われ、それに村の方自慢の山ウドの味噌漬け、きんぴら、てんぷらが次々と・・・・
天気に恵まれ気が付くと既に4時間以上も山里で過ごしていました。身近にあるこういう幸せ、豊かな恵みに、月並みですが改めて感謝した一日でした。三谷地区から、東京の成澤シェフのお店にこの時期毎日その日採れた山菜が送られているとのことです。3つ星レストランで味わう、加賀の里山サラダ、こういうのを毎日味わっているのが、私たちです。感謝、感謝。