ギャラリー萩

石川県加賀市 「ギャラリー萩」のホームページです。

古九谷の謎

雪の古九谷窯跡 後藤才次郎顕彰石碑 静かに雪の降る2月11日。九谷焼美術館の『雪古九谷展」の最終日です。東京から設計者の富田玲子さんが、友人の編集者Hさんと雪の九谷村を見てみたいと・・・。一面の銀世界、ひっそりとたたずむ古九谷の古窯と後藤才次郎の石碑です。雪の中で静かに九谷焼誕生の歴史の物語を語ってくれています。

写真を撮る富田玲子さん

わたしの夫は石川県加賀市の山中温泉旧九谷村で生まれ育ちました。初めて彼の故郷を訪れたのは冬、雪に埋もれた九谷村の神秘的な美しさは今も目に浮かんできます。20代の私は、まるで水墨画のようだと深い感動に包まれました。絵の中に入り込んでしまったような夢心地でした。その九谷村が、九谷焼の原点になった古九谷が焼かれた村だったことを知ったのはそれからだいぶ経ってからでした。夫たちが「古九谷研究会」を立ち上げたのは、世にいう古九谷産地論争で九州有田の古九谷伊万里説になってしまったことへの強い懸念からでした。九谷焼を生んだ大聖寺の街に古九谷専門美術館を建設しようというこの運動が実ったのが10年前、石川県九谷焼美術館が完成したのでした。ここを拠点に静かに古九谷の復権運動を続けてきました。今は館長の作家高田宏先生の小説『雪古九谷』を辿りながらの「雪古九谷展」開催中です。古九谷とは何か、興味のある方はここからどうぞ。http://www.youtube.com/watch?v=bEZ7BaXSRfc お宝鑑定団でおなじみ中島誠之助さんの案内で、古九谷の産地を訪ねています。さてその九谷焼の若い作家たちを首都圏に紹介するのが、今の私の仕事です。私も企画に参加した、東京は青山の伊勢半紅ミュージアムで開かれている「未来の匠」展へ向かいます。

2月1日出発の日は快晴です。まず白山連峰が中央奥にくっきりと見えています。そうして富士山もまた迎えてくれました。旅行社の方が可能な限りいつも窓際の、この位置を取ってくれるのです。いつも見られるわけではない、むしろ見えない確率の方が高いのですが・・・。

岩崎邸日本庭園に咲く寒牡丹です。

今回の東京出張はお宿を谷中に取りました。今「谷根千」ブームとかでこの辺り東京でもトレンディな場所になっています。上野界隈をゆっくり見てみたいと思ったのです。上野の山を歩きました。江戸幕府の事実上の終焉地となった寛永寺にもお参りしました。谷中の墓地も、冬枯れの状態でしたが、春爛漫の情景を眼に浮かべることができました。不忍の池や芸大周辺もゆっくり歩きました。お宿周辺の下町情緒も、新鮮でした。台東区のミニバスに乗って1時間半をかけて、上野駅を中心にして浅草まで回ってみました。東京スカイツリーにも再会できてラッキーでした。上野駅は仙台に住んでいた私にとっては、特別な思いのある、東京への入り口でした。

さて加賀に戻る日、テーブルウェアフェスティバルを観に東京ドームへ行ってきました。毎年開かれている人気のイベント、もう20年続いています。ここで、加賀を、九谷焼をもっと強く発信したいなとしみじみ思いました。印象に残ったセッティングをご紹介します。

東京ドームと言えば、札幌で少年野球をしている私の孫が何年か前上京して見て来ました。この春は甲子園まで行ってみるそうです。少年の日の憧れ、少女の頃の夢、大事にして育ててあげたいなと思います。夢と言えば、老年になった身も、相変わらず追っています。だからこうして東京まで出てくるのです。大人たちの夢が詰まった東京ドーム、テーブルウェアフェスティバルの会場です。 第21回テーブルゥエアフェスティバル 今年のオリジナルデザイン部門での最優秀賞は石川県の若い陶芸家、柳井友一さんでした。その他漆器部門では浅田明彦さん、ガラス部門では保木詩衣吏さん、入選していました。いずれも若い作家たち、石川県は才能の宝庫です。

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