奈良の旅 阿修羅像に会いに
2013年7月7日
娘と孫たちを大阪に送り、私はひとりで奈良へ1泊旅行に出かけました。久しぶりの一人旅、例によってゲストハウスです。今までも何度か奈良へは出かけています。何年かに1度は正倉院展、家族では何度か東大寺や薬師寺、法隆寺へ。今回は興福寺、阿修羅立像にお会いします。特別展でお留守になったりしていて今までお会いする機会がなかったのでした。
大正時代に建てられた瀟洒な日本家屋、お茶とお花の先生が住んでいらした趣のあるお庭が風情があります。掘りごたつのあるリビングではゲストたちがくつろいでいます。スコットランド、スペイン、韓国と国際色豊か。ここは奈良県庁の真後ろ、興福寺まで5分というう立地です。居心地も便利さも最高で、次回からの奈良の旅はここに決まりでしょう。
さて阿修羅像です。ここ数年以上前から興福寺は中金堂の再建をメインに整備中です。境内の国宝館に安置されています。ここには国宝40点重要文化財19点が展示されています。国内にある国宝仏像彫刻の「17%」が興福寺にあるのですから驚きです。その中で群を抜いて人気なのが阿修羅像です。ところで阿修羅は思っていたほど大きくはなく、153センチちょっと、私と同じ背の高さでした。まさに少年像、北海道に住む孫の姿が浮かんできました(もっとも中学2年にして170センチをはるかに超えているようです)。
興福寺の阿修羅像は三面六臂、上半身裸で条帛(じょうはく)と天衣をかけ、胸飾りと臂釧(ひせん)や腕釧を付け、裳をまとい板金剛をはいています。乾漆造りです。ともかくここの阿修羅は美しい。直向きな面差しに強く引き付けられます。負けないぞと、唇をかみしめて、邪悪な何者かと対峙しているそんな姿は、確かに戦闘神かもしれません。けれど敵は形あるものではなく、眼には見えない人の内面に巣食っているものではないのか、強い内省を迫られます。それでいて心に沁みてくる優しさ、幼子と向かい合って得られる安らぎのようなものがあります。半日彼と向かい合って過ごしました。言葉貧しくて美しいとしか表現できませんが、存在そのものの美しさに癒され励まされた時間でした。やっと会えた私の息子、そんな懐かしい感じです。
2日目は朝早く二月堂まで山道を歩き東大寺境内を散歩しました。それから電車に乗って飛鳥路へ。橿原神宮の駅で自転車を借り飛鳥路を走りました。かなりハードで、足腰ががたがた・・・(笑い)。でもここは歩くか自転車で、体中で飛鳥時代を感じるのが一番です。千年以上も前からここで人々が日々の暮らしを営んできている、当たり前のことのように日常的に過去の遺物が点在しています。どんなものを食べどんなふうに暮らしてきていたのかが、なんとなくですが感じます。
いい旅でした~。飛鳥から大阪へ特急に乗って、その夜は娘のマンションで、二人の可愛い阿修羅たちと過ごしました。後世この平成の時代はどのように伝わっていくのでしょうか。