ギャラリー萩

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コッツォルズの風 160キロのフットパス

今回の旅のメインは、コッツウォルズを歩くということでした。義兄が綿密に立ててくれたスケジュールは素晴らしいもので、イギリスの田舎のローカルなバスの時刻表まで調べ上げて、道なき道もきちんとシュミレーションしてあって、私たちはただついて歩けばよかったのでした。今年77歳のお兄さん、本当にありがとうございました。

コッツウォルズの丘の上で

その、なだらかな丘を歩くと、旅人は懐かしい時間に出会えるかも知れません。

イギリス・オックスフォードの郊外に広がる丘陵地帯「コッツウォルズ」
かつて、人々が馬車と運河で旅をした時代に栄えたこの土地は、
鉄道の時代に忘れられ、150年前の“のどかな時間”の中に
今も、静かに佇んでいるのです。

16世紀に建てられたというホテルに泊まり、
18世紀の教会の高い塔から聞こえてくる鐘の音に目覚めて。

朝、緑の野原を歩けば、鱒が泳ぐ、澄んだ小川のほとりに、
蜂蜜色の石で造られた家々が現れます。
何時しか旅人は、まだ世界が美しい夢を見ていた時の中に迷い込んでいくのです。

さてフットパスはイギリス全土くまなくめぐらされている、散策路とでも言いましょうか、足で歩く道です。街の大通りから細い脇道に入り、牧場や畑の中を歩くことができるようになっています。初日はBroadway(ブロードウェイ)からChipping Camden(チッピング・カムデン)まで。最初の1歩は、夥しい羊のうんちに驚き、ここが道なの? と思わず声を出してしまいました。

牧場の上まで上がると、コッツウォルズののどかな風景が広がっています。遠くブロードウェイの街が望めます。

フットパスに沿って、蜂蜜色のライムストーンで作られた境界もあって、きちんと修理修復が進行中。気が付くといつの間にか麦畑の真ん中、強い生命力に満ちていて震える思いでした。ゴッホも、もちろんここでではありませんが、こんな麦畑の真ん中で、激しい思いに駆られたに違いありません。

菜種畑です。菜種の収穫はもうすぐのようです。春には一面の黄色に染まり、菜花の甘い香りに満ちていたことでしょう。途中、時々雨が降ります。変わりやすいコッツウォルズの天気、でも雨が降っても爽やかでした。

この日のフットパスの目的地Chipping Camden(チッピング・カムデン)の村の美しいこと。おとぎ話の中に出てくるような愛らしい家々と庭、花々。かやぶき屋根が独特の文様に飾り切りされています。作った職人さんがそれぞれのデザインを持っているのでしょう。

南のバースから北のチッピングカムデンまで160キロのフットパスです。イギリス人はみな庭師と言われているのが納得できる、見事な庭ばかりでした。牧場も畑も、林もまるで庭のように手入れが行き届いています。この日は私たちが宿を取ったStow-on-the-WoldS(ストウ・オン・ザ・ウォルド)からバスでMoreton-in-Marsh (モートン・イン・マーシュ)まで行き、そこで乗り換えてBroadway(ブロードウェイ)まで。そこからフットパスを歩き、帰りはChipping Camden (チッピング・カムデン)からバスに乗り、再びMoreton-in-Marsh で乗換え Stow-on-the-Woldへ。お宿は街の中心マーケット・クロスにあるユースホステルです。Stow-on-the-Woldはコッツウォルズで一番高い所にある街、といっても標高270m、ローマ時代には幹線道路があった古い町、中世期には羊毛の取引で栄えたマーケットタウンだったそうです。ここを拠点に4日間毎日バスに乗り、フットパスを歩きました。

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