旅の余禄、エピソードなど
2014年8月7日
このドレス見て下さい、じっくりと。ロイヤル・シェークスピア・カンパニー劇場のロビーに飾ってあった「真夏の夜の夢」の衣装です。多分、主人公ヘレナのイブニングドレスだと思います。手を伸ばしかけて「あれっ」と思わず引いてしまったのは、ドレスの身頃部分が、手袋を繋ぎ合わせたパッチワークになっていたからでした。見回すと他にも、どの芝居のものかわかりませんが、大きく張り出したスカートの後ろ部分に炊事用手袋を縫いつけたドレスもあったりして、「??」でした。何故手袋なのか・・・、旅の途中やっと気づきました。もうすでにこのブログを読みながら「解ったわ」と思われた方おいででしょう。シェークスピアの父親は、手袋商人でした。このキュートなイヴニングドレス全体で、シェークピアをアピールしていたのでした。
右のドレスのどこかに炊事用手袋が縫い付けられています。私が観ることのできた「ヘンリーⅣ」の芝居の衣裳は、全体に茶色・灰色と暗めのものでしたが、独特の素材感があって、気付くとほとんどが革で出来ていたようでした。衣裳もかなりのこだわり。
今回の旅で「女性3人だけでアフタヌーンティーをしたいわ」という姉の願いでした。けれどもバカンス・シーズンのロンドンでは、有名なアフタヌーンティーのお店はどこも満員。「ロイヤルガーデンホテルという五つ星ホテルにあるパークテラスがいいみたいよ」と妹。ロンドン最後のその日の計画は、V&A美術館、アフタヌーンティー、そしてハロッズで買い物。スマートホンを持っていない私たちは予約ができないまま、ぶっつけ本番で行くしかありませんでした。ところが私は思いがけない幸運に恵まれました。V&Aの中庭でひとりでサンドウィッチとカフェ・ラテでランチをしていたのですが、「ここいいですか?」と家族連れが声をかけてきました。小さな女の子とご夫婦、夫人のお腹はは大きく8月には出産予定とのこと。日本に行ったことがあるという夫人と「日本の夏の暑さ、というか蒸し暑さ凄いですね」と盛り上がったりして楽しいランチタイムになりました。ロンドン住まいのご家族で奥さんはスペイン人、誠実そうな方々で、アフタヌーンティの予約、この方々にお願いしてみようと思い立ちました。「ノープロブラム!!」と、あっという間に予約をしてくださいました。混んでいて、夕方の5時から。お名前も伺わぬまま、記念に恥ずかしがり屋の女の子を囲んでの1枚です。
そんな訳で5つ星ホテル、アフタヌーンティでもランキング上位のロイヤルガーデンホテルにあるパークテラスで、夕方5時からのお茶の時間が実現しました。嬉しそうな3姉妹。
サンドウィッチはひとつひとつ声を上げてしまうほど吟味されつくした美味しさ、ナフキンで包まれた焼きたてスコーンの暖かさ、クロステッドクリームの優しい甘味、もちろんケーキの愛らしさ、お代りも存分にいただけるお紅茶、陽気で親切で、頼まないのに写真まで撮ってくれたスタッフ。幸せ感あふれるひと時を過ごしてきました。最後の1日、ぎりぎりセーフでのアフタヌーンティー。夫たちからは「よくもまあ見知らぬ人に頼んだなんて」と、私の図々しさに驚かれてしまいましたが、他人に親切をすることは楽しいに決まっている、との信念(そんなに大げさではありませんが)を持つ私にしてみれば、ごくごく自然の成り行きだったと思うのですが。それにしても、どんな人に巡り合うかわからないのが旅の醍醐味です。素晴らしいひと時を与えてくれたこのご家族に改めて感謝を込めて・・・