ギャラリー萩

石川県加賀市 「ギャラリー萩」のホームページです。

加賀の秋、秋の愉しみ

白山麓の白峰村の「展望の湯」から白山を臨みます。御前峰(標高2,702m)・剣ヶ峰 (2,677m)が見えますでしょうか?剣ヶ峰には白く雪が冠っています。ちょうど夕暮れ時、眼下左には別当出会いに向かう道が延びています。谷間の村はあっという間に陽が翳っていきます。お湯は柔らかく、トロッとしていて体の芯まで温まりました。紅葉は静かに季節の終わりを告げていました。ここ何日かの、私の秋便りです。

夫の故郷九谷村の川の流れ、大聖寺川の源流です。家の跡地に残るとろ柿の木、ダム工事による立ち退き前には、家の二階の屋根に上って柿もぎをしたものです。今は県指定の遺跡として、古九谷が焼かれた上絵窯が発掘されています。小雨降る九谷村に来たのには訳があります。ミズの実を採りに来たのです。秋の山菜です。春には、ミズ、あるいはタニフタギ、カタハとも呼ばれる山菜、独特の歯応えと粘り、お揚げさんと炊くと美味しい山菜です。二年前の秋、母の33回忌に岩手県の温泉宿で食べた山菜。調べてみたらミズの実。今までこちらでは見たことも食べたこともなかったのですが、絶対に見つかるはずと出かけました。タニフタギ、谷塞ぎの名前通り、谷沿いに茂っています。家の裏山、清水が流れ出ている崖に見つけました。こげ茶色の小さな実が、葉っぱの付け根辺りにに見えるでしょうか。これがミズの実です。

家に帰って、実から葉と茎を取り除きます。恐ろしく手間暇のかかる作業です。貧しい東北では、しばしば飢饉に襲われました。このミズの実も貴重な食料だったのでしょう。山に入り黙々と集め、手間暇を厭わずに。でも、これは美味なのです。手間暇かけても欲しいと思う食料に違いありません。さっと茹でてだし汁に漬けただけですが、自然の甘み旨みとねちっとした感触がたまりません。この辺りで食べられていないのが勿体ないくらい。 ナイロン袋一杯から、やっとご飯茶碗一杯分のミズの実です。貴重な山菜です。

さて、金沢の犀川の辺にあるフランス料理店Makinoです。長女のおごり、素敵なランチです。

まずは衝撃の前菜!!から。白い合子、蓋を開けると黒いマカロンがひとつ。サンドされているのは血のソーゼージとマッシュポテト。敷き詰めてあるのは様々のスパイス。強烈な香りに刺激されて、まさに興奮の極みでした。次々と供されるお料理からいくつか。

左の写真、マテ貝を始めて頂きました。右のグレーのお皿、シェフ自らカカオ豆から作ったチョコレートとのこと。何もかもがスペシャル・・・なひと時でした。長女は年に何回かこんな贅沢をさせてくれます。才能あふれるシェフの若々しい料理に出会う喜び、至福の時間です。

この日はしいの木迎賓館で全国の「紅茶サミット」が開かれており、加賀市打越町産の「加賀の紅茶の応援に出かけたのです。親戚のYさんが実行委員長。小雨が降ったものの、大賑わいのいいイベントでした。会費を払うと小さなティーカップが頂け、それでいくつもの紅茶がテイストできます。

せっかく近くまで来たのですから、21美に寄りました。この日も新しい企画展が始まって大賑わい。私が一番好きなところがここです。左の写真、ガラスの廊下をまたぐようにつくられたパトリック・ブランの『緑の橋』。赤い萩が名残咲き、秋の風情。僅か14センチの壁に植えられたさまざまな植物が四季折々の表情を見せてくれます。

右の写真です。広阪に面した通りに北陸のおしゃれなお土産グッズを集めた「GIFT」がオープン。ギャラリーの先輩としていつも色んな刺激を与えて下さる四緑園G-Wingギャラリーの中西さんのご長男が頑張っておいでです。21美の「緑の橋」を手入れし続けているのも彼です。若いギャラリスト、頑張れ!

私の秋はこうやって凄いスピードで通り抜けて行きそうです。美しいもの、美味しいもの、素敵な人たち、愉しい仕事・・・・、しみじみ有難く嬉しいことです。

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