ギャラリー萩

石川県加賀市 「ギャラリー萩」のホームページです。

秋の日々、なぜか超のつく忙しい日々になっています

この夏は本当に暑かった、猛暑だったと、今では遠い過去のように思い出しています。朝夕の寒いこと、ここ2・3日前からとうとう我が家の暖炉に(といっても薪ストーブですが)火を入れました。この春からひと夏かけて夫が準備してくれた薪、です。仙台の父の法事、7回忌に合わせて長女と二男と私たち夫婦とで、駆け足でみちのく路を回ってきました。もうすでに稲刈りが終わっているところが多く、懐かしい稲架が田んぼの中に並んでいました。

加賀から北陸道、磐越自動車道、東北道に入り夕方平泉に到着。長女の希望で、夕闇迫る平泉の参詣道を歩きました。世界遺産に登録されたばかりの杉木立に囲まれた聖域は静寂に満ち、歴史の重みが沁みてきました。この街では、コンビニの見慣れたロゴが白と黒だけで記されていて、たったそれだけのことなのにまったく別のところに来たという、不思議な感じでした。

その夜は花巻の鉛温泉で泊まりました。鄙びたままの湯治宿。妹の夫は子供の時から冬になると祖父母、父母たちとここで3週間も過ごしたそうです。宮沢賢治も愛した「白猿の湯」は、岩だけでできた不思議な空間。楕円形の穴が階段を下りた中央にぽっかりと空いています。大人が立って首のところまで湯があります。日本一深いお湯場です。ひとりでは怖くては入れそうもありません。そのほかにも5種類の温泉全部に入り体中の疲れが全部出てきたよう、次の日はあくびの連発でした。慌てて入ってはいけないのですね。 遠野の河童淵。遠くに見えるのは河童の親子(笑い)です。

盛岡の「ぴょんぴょん舎」で冷麺を食べるたいとの子供たちの希望です。焼き肉店ではなくイタリアンかフレンチかというおしゃれなお店でした。不思議ですね、みちのくの街で韓国の食べ物だったものが「盛岡冷麺」の名になって今では全国区のグルメです。秋田県に入りました。八幡平高原と並ぶ安比高原へ。観光学会で『安比高原の通年型観光…』という研究発表へのコメンテーターを依頼されたという長女の希望で現場視察(笑い)のような感じでした。もともと冬場のスキー場、ゲレンデではバーベキュー大会が、広い駐車場ではフリーマーケットが開かれていましたが、何となく寂しい感じ、絶対的な人の数が少ないのでした。私は新潟から来たという女性から、包丁を一つ買いました。

そうしてその夜は乳頭温泉郷へ、といってもお宿はすべて満室でスキー場傍の小さな民宿へ。硫黄分たっぷりのとてもいいお湯、かけ流し100%とのこと、夫はここが一番いい湯だったなと言っています。ここで、みずの実を頂きました。この時期の山菜で私は初体験でしたが、でも感覚の底に確かによく知っているものだと、気になってずっと仕方がありません。今年は暑くてジュンサイの当たり年、2回も収穫できたのでと、比内地鶏の骨と皮のスープでたっぷりのジュンサイを頂きました。それと黄菊ときのこの酢の物、東北の秋尽くし、家庭で味わうような暖かなお食事でした。次の朝は田沢湖により、乳頭温泉へ向かいました。

左の写真は、乳頭温泉郷の黒湯です。山の中の秘湯でです。私たちはまだ奥にある鶴の湯へ入りました。川原の中の露天風呂、混浴もおあり、ですがやはり女性専用のお湯へ。山奥なのにたくさんの人、お宿が取れなかったはずです。1年以上も前から予約でいっぱい・・・。温泉というエキスだけ頂いて、いつの日かここで湯治をと夢見ています。

右は角館の武家屋敷。モミの木と枝垂桜と、生け垣は楓。スケールの大きい街並みです。私は大好きな稲庭うどんを、子供たちは「比内地鶏ふわとろ親子丼」をお昼に頂きました。ご当地グルメ、ここも行列です。そこから仙台の実家へ向かいますが、寄り道をふたつ。夫の希望で岩出山町の(今は大崎市になりました)「感覚美術館」へ。閉館ギリギリでしたが、石川県から来たと頼み込みセーフ。それから仙台平野を横切って石巻へ。東北の作家たち展での人気作家、亀山英児さんが住む町です。今なお震災の復興は進んでいない状況でした。港から暗い海を眺めながらただただ祈るだけでした。

ある旅館のために会席の器を試作中です。夜の碗もの、温かく蒸しあがった碗の蓋を開ける瞬間の幸せ。運ばれてきた瞬間に「わっ、素敵!!」と思わず声が出てしまうような器にしたいと、願っています。制作は弦巻玲子さん。東京の美大を出て曽宇窯の橋本俊和・薫夫妻の元で修業しました。ここで結婚して今では1男1女の母親。子供を背負いながら直向きに作陶しています。

魯山人の日月碗風、ちょっと面白いかもと。赤地に金と銀の丸を描く予定。でも、金の値上がりで悩んでます。まだ生乾きの生地の前で、あれこれ検討中です。後ろに見えるのは現在使用中の金襴手の碗。

ある月刊誌の取材風景です。取材している人を撮るのが好きです。激写(笑い)って気がしませんか?

そしていよいよニュー-ヨーク展が近づきました。考えはじめると鼓動が早くなってきますが、普段はほかのことで忙しく忘れています。それでも確実に出発の日は近づいています。

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