ギャラリー萩

石川県加賀市 「ギャラリー萩」のホームページです。

始まりました「東北の作家たち展Ⅴ」9月4日(金)~13日(日)まで!!

猫の手あぶりの作家本間さんからのメッセージです。

震災からまる4年が過ぎました。目に見えない爪痕も残りましたが、内陸の我が家の周辺は元の姿を取り戻しています。当時感じた不安は、暗闇に包まれる窯焚 きの夜の不安と少し似ています。先の見えない闇に朝は来るのかしらと心配しましたが、今は柔らかい光の中で、再びいろいろなことが見え始めたと感じていま す。

これは多分、粘土での手びねりの猫のスケッチでしょうね。

ギャラリー萩1階の正面で6匹の猫ちゃんたちがお待ちしています。本間さんの新作です。

本間さんの手あぶり猫の原型は、江戸時代の京焼の名工仁阿弥の「黒楽銀彩猫手炙」にあります。寒い季節炭のみで暖を取っていた時代に、猫好きの庶民の遊び心と結びついて生まれた猫型火鉢が生み出され珍重されたようです。本間さんの若々しい感性と造形力とが生み出した「手あぶり猫」たちは、焼き物としての価値も高く、東北の作家たち展の象徴的な作品となっています。

5回目を迎える東北の作家たち展、第1回から参加して下さった陶芸家亀山英児さん、庄司人志さん、ガラス作家村山耕二さん、菊田佳代さんの作品も、象徴的な作品群です。東北の土や石、その地の植物や貝などから生み出された釉薬でのものづくり。このこだわりの中から、亀山さんや庄司さんの美しいブルーが生まれます。海鼠釉という東北の日常雑器の独特の色合いが生まれてきます。限られた条件の中で重ねられる工夫が作品の魅力を深めています。手をかけることを惜しまない直向きさ、人間性の奥深さを感じさせられます。

左が亀山さん、右が庄司さんのもの。宮城県石巻市と、福島県二本松市との風土が生み出した焼き物です。

仙台市のガラス作家村山耕二さんは「大地を融かすプロジェクト」を立ち上げ、南三陸町の砂をガラス玉にしています。津波に流されなくなってしまった街に残る砂を集めて溶かす大変な仕事です。村山さんのキャリアでもある、サハラ砂漠の砂のガラス化の技術が生かされています。生み出されたガラス玉は、大事なお守りとなって被災者に残ります。殆どボランティアでこのような大仕事を引き受ける村山さんのスケールに驚きます。ガラスとは、こんなにも美しかったのかと私たちに感動を与えてくれた村山さんの白瑠璃とサハラガラス。今年もオブジェや器、様々なものに形を変えて届いています。気仙沼市の菊田さん。毎年違った表情の作品を寄せてくれましたが、今年もアッと思わせてくれました。葉っぱや鳥、魚たちがデザイン化され描かれたお皿たち。彼女のエッセイを読んで、小さいころから海や畑で遊んだ記憶がこうやって制作の原点になっているのだと気付かされました。東北が産んだ作家です。1点1点丁寧に全力で取り組んだ、小さい器なのにそう思わせられるいいものです。

毎年人気の村山耕二さんの盃です。桜色が登場しました。

菊田さんの四角いお皿いろいろ全部お見せしたいくらい。

宮城県柴田町ジェームス オペさんのティーポット。アフタヌーンティーの本場イギリス人です。3回目から加わっていただき明るい独特の色遣いで人気です。文様もイギリス伝統のものもあって楽しんでいただけます。私はまだオペさんにだけはお会いしたことがありません。作品に触れながらどんな人かなと想像するのも愉しいもので、いつの日か会えることを楽しみにしています。

震災の年いとこで仙台の杜の未来舎代表の齋藤久夫さんに案内していただき作家たちの工房を訪ねました。がれきの積まれた海沿いの道を走り、何もない真っ暗な夜の闇に驚きました。穴窯が崩れ落ち、どうやって再築しようかという作家さんの苦悩を目の当たりにしもしました。学生ボランティアの力で、一番しんどい作業、崩れた土の中から煉瓦を掘りだし、泥や目地のセメントを落とす作業をしてもらえたことが有難かったとのことでした。そうして新にレンガを積み上げ穴窯を復活させることができたと聞きました。もうすぐで折れそうな気持が他人の力によって救われ、1歩を踏み出すことができたのです。踏ん張って頑張るものづくりの人たち、大変だけど強い人たちです。遠くで力になれることは少ない、しみじみ思ったことでした。

東北の作家たち展は、遠くにいる北陸に住む私たちが、かの地にいる作家たちへ器を買って応援する、シンプルな復興支援の形です。ものを作って売ることで生計を立てる作家たちへの直接の支援です。とてもいい仕事をしています。魅力的な作品達です。どうぞ見に来てください。東北の空気が流れています。かの地へ思いを馳せ、そこで生まれた器を使う。ギャラリー萩がその仲立ちが出来れば、そんな幸せなことはありません。

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