一人暮らしの楽しみ
2024年9月5日
一人暮らしの楽しみ
7月31日に完成した家の引き渡しが無事終わりました。
でもその後もまだ追加の工事があったリ引っ越しもまだだったりでなかなか住めるようにはなりません。
この家にどうしても持ってこなければならないものが二つありました。
それは以前のギャラリーで使っていた大きなキハダ材のテーブルと家で使いきれなかった桜材のデスク。
いずれも大きく重くとても私たちだけでは運べそうもなく、現場監督のKさんにお願いしました。会社の若い人二人を連れてきてくれました。彼の采配で無事新居に収まりました。ピタッと、まるでそう誂えたかのように。もう一つベッドも運んでいただき私の引っ越しのほとんどは終わったも同然でした。
キッチンの棚やクローゼットの棚は私が四苦八苦して組み立てました。随分組み立てやすく考えられていて道具も殆ど無しで出来上がるので、達成感がありました。
暮らすということの為に必要な細々したもの、テレビや洗濯機も揃えたいし、一人暮らしに贅沢はできないし、もとよりお金は殆ど残っていないし、の状態での毎日のホームセンター、百均通いでした。箪笥も引き出しを空っぽにしてひとりで一輪車を使って運びました。好きな油彩画や版画も運んだし、やっと寝ることができるようになりました。
まだ食事ができる状態に台所は整っていないので、母屋で。夕食は私が担当です。息子夫婦と三人の孫との賑やかな暮らし、愛おしいこの子達と別れ住むなんてことどうして決めたのだろうと、こういう幸せを手放すなんてと、思わなくもないのですが、意外にあっさりとしたお別れでした。だって、隣なんだもの、ネットも繋がるし、大声で呼べば聞こえるし、庭続きだもの。寂しくなんかない。と、いつの間にか9月に入りました。
あの猛暑が嘘のように秋めいて朝夕は涼しく、夜もエアコンなしで眠れるようになりました。今日は玄関前にアナベルの苗を植えました。以前の庭の主役だったジューンベリーの実生の木も一緒に植えて後は育ってくれるのを待つだけです。アナベルの圧倒的な白い花、札幌の息子夫婦が案内してくれたアイスクリーム屋さんの前のアプローチに咲き誇っていたアナベルにすっかり心奪われました。我が家にもと昨年夏の終わり友人から枝を分けてもらい挿し木をして冬を越しました。大成功と喜んだけど、この夏を乗り越えられたのが僅か一枝だけ。
「必要なものだけ持って行ってよ」と次男の言葉。有り難く終活させてもらえます。好きなものだけ、必要なものだけ持っていって暮らす。テーブルも机も老後の私の大事な友、仕事の、ギャラリーの大事な主役です。このテーブルを囲んで20年間ギャラリー萩はその歴史を刻んできました。リビングの中央に。後は大事にとっておいた椅子たちを並べます。腕のいい家具作家たちの上質なもの。桜材の机は作り付けの棚と一緒に展示台になる予定です。パレスチナオリーブや石けんなど並べます。「パレスチナに涙を」の運動を長男夫婦によって知りました。北陸の田舎町で今まで何ら関心も持たずに来た、世界のどこかの悲惨な実情でした。他人事としてではなく、できることをやってみようと常設を決めたギャラリー萩で扱うことを決めました。小さな小さな一歩。世界への目を少しだけ開けました。そのステージにこの重厚な極めてオーソドックスな机はぴったりです。揺るがない決意のようなものを持たされます。
再出発のギャラリー萩は、コーヒーが有料になります。そして、ランチも提供します。20年間コーヒーはフリーでした。私の仕事はコーヒーを入れること、サービスすることといっても過言ではないくらい、ともかくコーヒーメインのギャラリーでした。夫好みの軽くてそれでいてコクのある味にブレンドしてもらったコーヒーを金沢から届けてもらっていました。再オープンもそのコーヒーでいきます。1杯300円ですが、どうでしょうか。ブラックでチョコが付きます。ランチは、『婆さんの洋風家庭料理』といったイメージ。50年近い主婦生活は同時にお炊事生活でもありました。作り続けてきたというただそれだけでの自信です。おかずマフィン、今日の焼き立てパンをメインに、できれば庭で育てているハーブや野菜もサラダにして摘みたてを。それにスープとたんぱく質おかずの組み合わせで、食後のコーヒー付き。パン皿は今山中漆器の方々にお願いして制作中です。栃木の黒漆仕上げ。楽しみ~。
予定では9月中に準備完了なのですが、果たして間に合いますかどうか、コーヒーやランチでうろうろしているうちに肝心のギャラリーが疎かにならないよう、心して向かいましょう。