ギャラリー萩

石川県加賀市 「ギャラリー萩」のホームページです。

5月の日々 加賀の里山の魅力を

左の写真からご説明します。東京青山にある人気レストラNARISAWAのコースの最初に登場する前菜です。「加賀の里山」といったタイトルが浮かびますが、素朴な板皿の上に黒く湿った豊穣な土、柔らかな苔、朽ちかけた木の枝、芽吹いた草花が劇的に登場します。加賀市日谷村の山菜です。これからの食の核はお米と大豆と言い切る成澤さんの創作料理です。黒い土と緑の苔はともにおからで出来ています。右端の木の猪口の中は森のエキス、杉とオークの木の香りの水です。5月12日日曜日に開かれた成澤由浩シェフの講演会。料理の実演もありましたが、自然保護の伝道師といった感じの奥深いお話が印象深く残りました。日谷の方々はこの1年半の間毎週新鮮な山野草を東京の成澤さんに送り続けてきました。雪積もる冬にも欠かさずに・・・。それは都会の人たちへの里山からのメッセージとして成澤さんの手でしっかりと届けられています。右の写真はコースの最後のデザートです。葛のスイーツです。優しい甘味は酒粕ベース、今日はイチゴでしたがもうすぐ日谷の山里ではキイチゴが実ります。成澤さんの依頼に応えて日谷の有志達は葛根を100キロも集めたとのこと。出来上がったくず粉は1キロちょっと、気の遠くなる作業の結果ですね。今現在、器は違いますが青山のNARISAAで出されているデザート、三谷地区公民館でいただきました!! 半透明のうっすらとした琥珀色、日谷の葛は見た目もまた美味なのでした。

講演後成澤さんを囲んでトーク会です。若いシェフやアーティスト、山菜を提供している日谷の野菊の会のメンバーたちと、熱のこもったひと時です。加賀市役所から車で7分、日谷村は素晴らしい里山です。深山にあるような山野草が400種類もあると言います。山葵も渓流沿いに生えていて、昨年世界中から集まったクックイットロウのシェフたちを歓喜させたと聞きました。先祖から受け継いだ自然遺産をしっかり守り続けてきた日谷村の人々、素晴らしい限りですね。

会場で地元の陶芸家、藤澤重夫さんと会いました。ここ10数年研究試作を続けてきた青磁が出来上がったとのことでした。工房前の川の陶石で作ったものです。

その名も三谷青磁。唐草文様が陽刻されている美しい皿です。日谷の里山で生まれた美しい器は何か大きな可能性を感じさせてくれました。ここから何かが始まります、きっと。

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